一遍聖絵(東京国立博物館)中国絵画からも色感や筆遣いを取り入れた丁寧な作り/鎌倉時代の美術

一遍上人伝絵巻

時宗の開祖一遍の生涯を描いた絵巻。十数種の伝本があるが,2系統に大別される。(1)聖戒(しょうかい)本。奥書によれば1299年一遍の弟子聖戒が詞書(ことばがき)を作り,円伊(えんい)が絵を描いたとある。原本の清浄光寺蔵12巻本(第7巻のみ東京国立博物館蔵)が最も有名で,《一遍聖絵》と称す。大和絵の技法に宋元山水画の影響がみられ,各地の自然と民衆をパノラマ的にとらえながら,リアルな描写と詩情を融合させた傑作。(2)宗俊(そうしゅん)本。一遍の弟子宗俊が編纂した《一遍上人縁起絵》10巻本で,この系統のものが多く作られた。鎌倉?室町期にかけ長野金台(こんだい)寺本,兵庫真光(しんこう)寺本などがある。