吉祥天像(薬師寺)麻布に描かれた日本最古の彩色画/奈良(天平)時代の美術

吉祥天像(薬師寺)

本作品は吉祥悔過会(きちじょうけかえ)の本尊像として製作されたものと推定される。吉祥悔過会とは奈良時代に始まったもので、年の初めに宮中や諸大寺において吉祥天像を祀り、過去の罪障を悔い改める(悔過)とともに、国家の繁栄や国民の幸せ、五穀豊穰などを願って営まれたものである。『続日本紀』には天平神護3年(767年)称徳天皇によって吉祥悔過会が行われたことが記録されている。本画像は明治初年までは薬師寺の鎮守である休ヶ岡八幡宮に伝来した。同八幡宮は平安時代初期の寛平年間(889 – 898年)に勧請されたものであるが、本画像の様式はそれより古く、薬師寺において吉祥悔過会の始められた宝亀2年(771年)頃に製作されたものと推定されている。